土砂災害ハザードマップを目指して!

 日本の主な自然災害による死者の数は、過去30年間のうち地震災害は約7000名に及び、次に斜面災害は3152人と続いている。斜面災害は、地震時と豪雨時に発生し、年間約平均100人以上の死者が発生している(図−1)。

図−1
 
 1999年6月広島市呉市の土砂災害による家屋138棟の全半壊をきっかけに土砂災害防止法が施行され、土砂災害警戒区域の指定等の調査が進められているが、現在では京都大学防災研究所が中心となり、東京大学、国土交通省国土地理院、防災科学技術研究所などにより、次の様な基礎研究が進められており、これらの成果によるところが多い。(APERIFプロジェクト)

 ○ 土砂流動メカニズム    ○ 危険斜面抽出のための地形計測、解析技術
 ○ 土砂到達範囲予測技術  ○ 災害危険区域予測法

 危険区域の予測には、上記の様な研究と開発が必要とされるが、「広義の地すべり」※による危険区域と災害の規模を予測することによって、社会的な開発を規制し、あるいは開発区域に対して予防対策をあらかじめ行うことができる。
 ここではいつ発生するかについては、地震予測、豪雨の降雨量等の関係によることから、時間の要素は含めていない。
 従来の地形図は、樹木の影響を含んだ空中写真による作成された地形図のため、崩壊地や崩壊性の地形が判読困難であった。しかし、レーザースキャナーによる地形図(図−2)により、斜面微地形の判読がより的確にできる様になった。

図−2


 この地形図によれば、崩壊頂部、遷急線、地すべりブロック等が明瞭に判読可能であり、過去に発生した地すべりなどの形跡も読むことも可能とされています。さらに、斜面形状がより詳細となることから、災害発生斜面の形状、みかけの摩擦角等の定量的なデータが得られ、その後、地域の予測を行うことも可能と考えられる。

Landslide 「地すべり」は、国際学会などで、地滑り、崩壊、土砂流、火砕流、落石・岩盤崩壊、海底地すべり、側方流動などを含む広い意味であり、岩・土あるいはその混合物の斜面下降運動と定めている。
                    (京都大学防災研究所 佐々恭二教授)