(建設コンサルタント協会にて発表より)







 ダムの骨材としての規格は、比重:2.5g/cm2以上、吸水率:3%以下、安定性損失重量10%以下とする高品質の基準値が示されている。この値をクリアーする材質を判定するために、ボーリングコアの約3000mでの多数の材料試験のほか、代表部についてのX線分析・顕微鏡観察による鉱物判定、物理・力学試験、軟石試験、横抗でのシュミットハンマー、点載荷試験等を実施し、変質強度に応じた変質区分との対比を行った。
 さらに、原石の採掘に際して、現地において簡易な方法で客観的に材質を区分する判別法を検討したところ、変質の過程により、変質鉱物の生成が特徴的であることから、これに対応して力学強度の変化がみられ、材質の良否を定量的に簡易に判別する方法として点載荷試験による評価法が有効であることがわかった。









○変質の区分
 変質の程度に応じて、試験結果と対応させた区分を行った。ここで変質区分[V]と[W]、強風化に対応する材質は骨材として不適当と判断される。
○変質鉱物の変化
 変質が進むにしたがって、初生的造岩鉱物の黒雲母・角閃石が消失し、緑色化あるいは白色化が進行する。緑色化変質では緑泥石が増加し、白色化変質ではカオリン・方解石・ドロマイト等が増大している。これらの変質鉱物の量比はX線分析のピーク強度によって相対的に知ることができることから、変質鉱物の多少が材質区分の基本となっている。
原石の品質管理
 原石の現場での品質管理では、定性的であるが目視による下表のような判定項目が簡易な方法としてあげられる。









1)方法と成果
 ポイントロードテスト、非整形引張強度試験とも称されている。三角錐の先端部が球状の特殊鋼材からなる。二点間内で載荷する簡易的な試験法であり、国外では基準化されてかなり利用度が高いが、国内ではまだ利用度が低いように思われる。(ISRMは指針化されている)
 最大荷重は硬岩を対象とする10t/cm2から、軟岩を対象とする1t/cm2まで荷重計を切り替えられるようになっており、風化花崗岩、マサまでを対象とする測定事例もある。
2)指標値としての利用上の留意点
○岩塊は均質なものとしての強度指標であり、
  ・潜在クラック
  ・強と弱変質部が小さく混在する
  ・薄層を挟在する
 等の弱部を伴う場合、弱部の強度となることから、サンプルと破壊時のクラックの性状を観察しておく必要がある。
○異方性のある岩質については片理面方向については留意すべきである。


点載荷試験の利用性について
 
 一般的には強度の指標値を得ることを目的として利用され、塊状骨材の強度を定量的に評価、把握するという方法から考えると、最も直接的な試験の方法と思われる。
 特に花崗岩、安山岩等の火成岩、中〜古生代の硬質岩等についても、変質あるいは風化岩の判別の方法として、十分利用し得ると考えられる。また、砂岩・凝灰岩等の均質岩について、骨材・ロック材等の強度指標としても利用可能と考えられる。